2010年07月11日
血友病患者における骨密度
今回紹介させていただく論文は、血友病症例における骨密度の検討です。
メタ解析が行われています。
「血友病患者における骨密度」
著者名:Iorio A, et al.
雑誌名:Thromb Haemost 103 : 596-603, 2010.
<論文の要旨>
骨粗鬆症(参考:オステオカルシン)は、骨密度(BMD)の低下によって引き起こされます。血友病症例は、運動量が少ないことや、血液由来ウイルス感染症が原因となって、骨粗鬆症に羅患しやすい可能性があります。
著者らは文献をレビューし、重症血友病におけるBMD低下について検討しました。
7つの報告のうち、腰椎BMD(g/cm2)は7報告(全部)、BMIは5報告、HCVは6報告で評価されていました。BMDの標準化平均差(SMD)を用いて、血友病とコントロールの比較を行いました。また、BMIとHCV感染の影響は、メタ回帰分析で検討しました。
大人血友病101例(33±8.9才)、大人コントロール101例、小児血友病111例(8±3.6才)、小児コントロール307例を解析することができた。
その結果、腰椎BMDは、重症血友病においてはコントロールと比較して有意に低値でした(大人&小児ともに)。血友病患者におけるBMDの低下は、BMIやHCV感染とは無関係でした。
今回のメタ解析によって、重症血友病においてはBMDが低値であることが明らかになりました。
今後、血友病症例における骨折の頻度の検討や、骨粗鬆症防止のための治療法についての検討も必要と考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:08| 出血性疾患