2010年07月20日
小児における抗リン脂質抗体症候群:小児APS(4)
抗リン脂質抗体症候群の血栓症発症機序:小児APS(3)より続く。
【小児におけるAPS】
Avcin T.: Antiphospholipid syndrome in children. Curr Opin Rheumatol 20; 595-600, 2008.
一般的に抗リン脂質抗体症候群(APS)は妊娠可能な若年女性に多く、50歳以降はわずかに12%程度、小児ではさらにまれです。
小児におけるAPSは、1979年にOliveらが循環抗凝血素を有し血栓症を発症したSLE合併9歳男児について報告したのが最初です。
小児のAPSは確立された診断基準も無く、成人のガイドラインや臨床基準を応用しているため、正確な発症頻度を算定することは困難です。また、成人APSに比べて多施設共同臨床研究も少なく、実態についてはあまり知られていません。
小児におけるAPSには、新生児期に発症する新生児APSと、幼小児期や青年期に発症する小児APSとがあります。
成人APSとは、以下のようないくつかの点で異なっていることを考慮する必要があります。
<小児におけるAPSの特徴>
1)血栓傾向をきたす危険因子(動脈硬化、喫煙、経口避妊薬)がない。
2)感染症惹起抗リン脂質抗体(aPL)の出現頻度が高い。
3)aPL抗体価のカットオフ値の違い。
4)長期間の治療に影響する小児特異的なファクタ—の存在、など。
(続く)
【リンク】
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:07| 血栓性疾患