2010年07月22日
小児の抗リン脂質抗体症候群:小児APS(6)
【小児APSの特徴】
小児抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断は、一般的にはSapporo Criteria-Sydney改変の分類基準に基づき、動・静脈血栓症を認め、同時に少なくとも1つの抗リン脂質抗体(aPL)が検出された場合に確定します(参考:血液凝固検査入門)。
成人APSの発症は女性に多いですが(男女比1:5)、小児APSでは1:1.2とわずかに女児に多い程度です。
Avcin T, et al.: Pediatric antiphospholipid syndrome: Clinical and immunologic features of 121petients in an international registry. Pediatrics 122: e1100-e1107, 2008.
これは、成人APSでは血栓症患者の他に、不育症の女性が含まれることが一つの要因と考えられています。
また、成人APSでは単独で発症する原発性APSの割合が全体の53〜57%と若干多いですが、小児APSでは原発性APSと自己免疫疾患に合併した二次性APSがそれぞれ半数ずつを占めています。
二次性APSの約8割が全身性エリテマトーデス(SLE)に合併しており、その半数がSLE診断以前あるいは診断時に血栓症を発症しています。
発症時の平均年齢は10.7歳(年齢範囲:1.0-17.9歳)です。原発性APS(8.7歳)の方が二次性APS(12.7歳)に比べて若いです。
(続く)小児抗リン脂質抗体症候群の血栓症状:小児APS(7)へ
【リンク】
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:06| 血栓性疾患