金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年07月30日

小児特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の特徴

今回紹介させていただく論文は、日本人小児の特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の特徴を多施設

で検討した報告です。

 

「日本人小児における慢性ITPの特徴

著者名:Kubota M, et al.
雑誌名:Int J Hematol 91 : 252-257, 2010.


<論文の要旨>


著者らは、急性ITPと慢性ITPの初診時における差異、および慢性ITP予後規定因子について検討しました。

対象は、京大小児血液研究グループに属する12病院において1991年4月〜2006年3月の間に新たに診断された小児ITP247例です(急性ITP 180例、慢性ITP 67例)。


その結果、慢性化の危険因子は、以下の要素でした。

1)年齢が高いこと 

2)初診時の血小板数高値

3)疾患の既往歴があること

4)合併症があること

5)先行する感染症またはワクチン接種がないこと

6)イムノグロブリン上昇がないこと


摘脾がなされた症例や経過観察のできなかった症例を除いた、慢性ITPの50%の症例が回復するのに要する期間は5.6年でした。

 

慢性ITPの予後良好因子は、以下でした。

1)初診時の年齢が3才未満であること

2)慢性ITPの診断時における血小板数が高値であることがであった。

 

慢性ITPの予後と無関係な因子は、以下でした。

1)性別

2)初診時の血小板数

3)感染症またはワクチンの接種



【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:18| 出血性疾患