小児HPS/HLHの治療と予後:血球貪食症候群(HPS)(6)
一次性・二次性HPS/HLHの診断:血球貪食症候群(HPS)(5) より続く。
小児HPS/HLHの治療と予後
HPS/HLH治療は、活性化マクロファージ/組織球対策(エトポシド、ステロイド、免疫グロブリン大量)と活性化T細胞対策(ステロイド、シクロスポリン、抗胸腺グロブリン)からなります。
二次性HPS/HLHの場合、感染症など原疾患の治療 も必要です。
中枢神経病変を有する場合、メトトレキサートの髄注を考慮します。
HPS/HLHは中枢神経病変を認めやすいので、血液脳関門の通過を考慮 し、プレドニゾロンよりデキサメタゾンを推奨する意見もあります。
Henter J-I, et al: HLH-2004: Diagnostic and therapeutic guidelines for hemophagocytic lymphohistiocytosis. Pediatric Blood & Cancer 48:124-131, 2007
化学療法不応か再発、またはFHLの場合、化学療法だけで長期生存は期待できませんので、引 き続き同種造血幹細胞移植を計画します(ドナーソース、血縁・非血縁は問いません)。
以前FHLは平均生存期間2か月以内でしたが、同種造血幹細胞移植を 積極的に行うことで改善しています(上図)。
Ishii E, et al: Nationwide survey of hemophagocytic lymphohistiocytosis in Japan. Int J Hematol 86:58-65, 2007.
大規模国際試験(HLH-94プロトコール:エトポシド+シクロスポリン+デキサメタゾン、症例によってはそ の後同種骨髄移植)の結果、全体の3年生存率は55%(骨髄移植例は62%)と良好でした。
HLH-94を改良したプロトコール研究(HLH- 2004)が現在進行中です。
なお、全身性若年性特発性関節炎(systemic form of juvenile idiopathic arthritis: sJIA)など自己免疫疾患に関連して起こるMASは、ステロイド単独療法で改善する場合も多いです。
(続く)
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移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断
【シリーズ】溶血性貧血(PNH、AIHAほか) (8回シリーズ)
【シリーズ】造血幹細胞移植後の再発(4回シリーズ)
【シリーズ】造血幹細胞移植前処置としてのATG(6回シリーズ)
【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:08| 血液疾患(汎血球減少、移植他)