出血時間、PT、APTT:医学部CBT過去問解説
医学部4年生を対象にした、CBT過去問の予想問題の解説を試みたいと思います。
受験生の記憶をもとに再生した過去問ですので、実際の問題とは若干違っている可能性がありますが、ご了解いただきたいと思います。
6歳の男児。出血時間延長、PT正常、APTT延長。
この病態を示す疾患は、以下のなかで何か。
a Bernard-Soulier症候群
b von Willebrand病
c 血友病
d 血小板無力症
e 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
f 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
g 播種性血管内凝固症候群(DIC)
h アレルギー性紫斑病
i ビタミンK欠乏症
【解説】
出血時間の延長(以下の3つの病態のみです)
1. 血小板数の低下:e、f、g
2. 血小板機能の低下:a、b、d
3. 血管壁の脆弱性(+)
(c、h、iは出血時間正常)
von Willebrand病(vWD)では、von Willebrand因子(vWF)が低下します。
vWFは血小板粘着に必要な因子であり、vWDでは血小板粘着能(血小板機能)が低下して出血時間が延長します。
PTの延長
VII、X、V、II(プロトロンビン)、I(フィブリノゲン)のいずれかの活性が低下:g、i
APTTの延長
XII、XI、IX、VIII、X、V、II、Iのいずれかの活性が低下:b、c、g、i
vWDでは、vWFが低下しますが、vWFは第VIII因子のキャリア蛋白であるため、本疾患では第VIII因子活性も低下します → APTT延長
【正答】
b von Willebrand病
【解説】
von Willebrand病(vWD)
1. 常染色体性優性遺伝(男女とも発症) (cf.血友病は、伴性劣性遺伝で男性のみに発症)。
2. 粘膜出血 :鼻出血など(cf.血友病は、関節内出血、筋肉内出血)。
3. 出血時間&APTTの延長。血小板粘着能の低下。PTや血小板数は正常。血小板凝集能のリストセチン凝集の低下(cf.血友病は、PT&出血時間正常、APTT延長)。
4. von Willebrand 因子 (vWF) の低下。第VIII因子も低下!
5. 治療:血漿由来血液凝固第VIII因子製剤(第VIII因子濃縮製剤だが、vWFも混入している) 、抗利尿ホルモン剤の DDAVP(デスモプレシン)
【リンク】
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:16| 医師国家試験・専門医試験対策