発熱と出血:医学部CBT過去問解説
CBT過去問の予想問題の解説
より続く。
連問形式ですので、前記事の1)2)をご覧になっていない場合には、上記の前記事からご覧いただけるでしょうか。
4連問の3番目の問題は、臨床検査所見と関連した問題が出題されることになっています。
これも、作題する方の立場になりますと、どうしても無理な出題になりがちのように思います(無理矢理に臨床検査所見の問題にせざるをえないため)。
(3/4)
56歳の男性.発熱を主訴に来院した.10日前より微熱と倦怠感があった.近医で抗菌薬を処方されたが改善せず,昨日は体温38.5℃まで上昇した.立ちくらみが出現し,動くと動悸がする.
下痢,体重減少,咳・痰はなく,周囲に同じ症状の人もいないという.
身長172cm,体重68kg.脈拍90/分,整.血圧130/80mmHg.下肢に斑状の出血が多数みられた.
歯肉出血は認めない.胸部聴診上,収縮期雑音を認める.眼瞼結膜の蒼白を認める.
診断上重要な所見はどれか.
a アルブミン
b ビリルビン
c FDP
d LDH
e ALP
(解説)
a 特に関係ありません。
b 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)や溶血性尿毒症症候群(HUS)などの溶血を来す疾患では、間接ビリルビンが上昇します。閉塞性黄疸では、直接ビリルビンが上昇します。
c 本例では、感染症を基礎疾患に播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併したと考えられます。FDPは、DICの診断にDダイマーや血小板数とならんで、最も重要なマーカーです。
d TTPやHUSでは、溶血を反映してLDHは上昇します。
e ALPは、肝胆道系疾患、骨疾患(骨転移など)で上昇します。
(正答)c
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:31| 医師国家試験・専門医試験対策