金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年09月05日

下腿の皮疹(紫斑):医学部CBT過去問解説

CBT過去問(受験生の記憶による予想問題)の解説

 

12歳の女児.扁桃炎に罹患後,腹痛と下腿伸側を中心に皮疹が出現した.皮疹は硝子圧法にて消退しない.下腿の皮疹の肉眼像を示す.

紫斑2

画像は、以下よりお借りしました。
MLEC

 

高率に傷害される臓器はどれか.

a 肝 臓
b 心 臓
c 腎 臓
d 肺
e 膵 臓

 

 

 

<ポイント>

上気道炎が先行して、両側下腿に特徴的な紫斑が出現しています。

腹部症状を伴っているのもポイントです。

Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病)と考えられます。

本疾患は、腹部症状(腸重積、腹痛、下血など)、関節痛、血尿、腎障害(IgA腎症に類似)を伴うことがあります。

 

<画像の説明>

両側下腿に左右対称性の紫斑が出現しています。

「皮疹は硝子圧法にて消退しない」というのは、確実に紫斑である(血管外に血液が出ている)ことを意味しています(たとえば紅斑であれば消退します)。

 

<選択肢の解説>

○   c:Schönlein-Henoch紫斑病(アレルギー性紫斑病)では、腎障害を合併することがあります。
 × a、b、d、e:これらの臓器の合併症はない。


<正答> c

 


<Schönlein-Henoch紫斑病(アレルギー性紫斑病) >

1.    血管性出血性素因。皮膚出血斑(特に下肢に左右対称性の紫斑)が出現。全身性の血管炎が本態(血管壁にIgAの沈着)。

2.    小児に多い。

3.    上気道感染が先行。

4.    時に、腹部症状、関節痛、血尿、腎障害を伴う。

5.    PT、APTT、出血時間、血小板数は正常。時に、第XIII因子が低下。

6.    腎障害がなければ、予後は良好。自然治癒も多い。

7.    画像が重要です! この疾患が、CBTや国試で出題される時は、まず画像が添えられます。


 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:12| 医師国家試験・専門医試験対策