下腿の皮疹(紫斑):医学部CBT過去問解説
CBT過去問(受験生の記憶による予想問題)の解説
12歳の女児.扁桃炎に罹患後,腹痛と下腿伸側を中心に皮疹が出現した.皮疹は硝子圧法にて消退しない.下腿の皮疹の肉眼像を示す.
画像は、以下よりお借りしました。
MLEC
高率に傷害される臓器はどれか.
a 肝 臓
b 心 臓
c 腎 臓
d 肺
e 膵 臓
<ポイント>
上気道炎が先行して、両側下腿に特徴的な紫斑が出現しています。
腹部症状を伴っているのもポイントです。
Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病)と考えられます。
本疾患は、腹部症状(腸重積、腹痛、下血など)、関節痛、血尿、腎障害(IgA腎症に類似)を伴うことがあります。
<画像の説明>
両側下腿に左右対称性の紫斑が出現しています。
「皮疹は硝子圧法にて消退しない」というのは、確実に紫斑である(血管外に血液が出ている)ことを意味しています(たとえば紅斑であれば消退します)。
<選択肢の解説>
○ c:Schönlein-Henoch紫斑病(アレルギー性紫斑病)では、腎障害を合併することがあります。
× a、b、d、e:これらの臓器の合併症はない。
<正答> c
<Schönlein-Henoch紫斑病(アレルギー性紫斑病) >
1. 血管性出血性素因。皮膚出血斑(特に下肢に左右対称性の紫斑)が出現。全身性の血管炎が本態(血管壁にIgAの沈着)。
2. 小児に多い。
3. 上気道感染が先行。
4. 時に、腹部症状、関節痛、血尿、腎障害を伴う。
5. PT、APTT、出血時間、血小板数は正常。時に、第XIII因子が低下。
6. 腎障害がなければ、予後は良好。自然治癒も多い。
7. 画像が重要です! この疾患が、CBTや国試で出題される時は、まず画像が添えられます。
【リンク】
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:12| 医師国家試験・専門医試験対策