金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年09月08日

播種性血管内凝固症候群(DIC):医学部血液内科試験

平成22年9月6日(月)15:30〜16:30に、平成22年度血液内科「病棟実習」試験が行われました。
全体の平均点が、81.2点でしたので、例年より簡単な試験だったのではないでしょうか。

問題紹介と解説をブログ記事でアップさせていただきたいと思います。

今回の問題は、正答率91.6%です。


播種性血管内凝固症候群(DIC)に関する記載として誤りはどれか.1つ選べ.

(a)    急性前骨髄球性白血病に合併したDICにおいては,血中α2プラスミンインヒビター(α2PI)活性が著減する.

(b)    敗血症に合併したDICにおいては,血中フィブリノゲンが著減する.

(c)    敗血症に合併したDICにおいては,血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が著増する.

(d)    線溶亢進型DIC(旧名称:線溶優位型DIC)においては,血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増する.

(e)    線溶抑制型DIC(旧名称:凝固優位型DIC)においては,血中プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)が著増する.




(解説)

(a)    急性前骨髄球性白血病(APL)では、線溶亢進型の播種性血管内凝固症候群(DIC)になります。過剰なプラスミン産生に伴い(PICは著増します)、血中α2プラスミンインヒビター(α2PI)活性は消費性に低下します。

(b)    敗血症では、強い炎症反応に伴い、DICの合併がなければフィブリノゲンは上昇します(重症の肝不全合併例を除く)。DICを合併しても、あまりフィブリノゲンは低下しません。
DIC診断基準の中には、フィブリノゲンを外したものもあります(参考:急性期DIC診断基準)。

(c)    DICの本態は著しい凝固活性化です。少なくとも国家試験、卒業試験レベルでは,血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)は著増します。

(d)    その通りです。TATもPICも著増します。FDPも著増しやすいです。

(e)    その通りです。そのために、線溶活性化は軽度(PICの上昇は軽度)に留まります。

 

(正答)

(b)  

  

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:59| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

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