金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年10月19日

先天性無フィブリノゲン血症

論文紹介を続けさせていただきます(参考:後天性血友病血友病)。

今回は、先天性無フィブリノゲン血症の論文です。当科では、異様フィブリノゲン血症は、時に経験しますが、無フィブリノゲン血症の経験はありません。

異常フィブリノゲン血症では、フィブリノゲンが感度以下であっても、出血することは稀である印象を持っていますが、無フィブリノゲン血症でも出血するとは限らないようです。

 


「先天性無フィブリノゲン血症における頭蓋内出血(新生児例)」


著者名:Ataoglu E, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 21: 592-594, 2010.

<論文の要旨>


先天性無フィブリノゲン血症は、きわめて稀な常染色体劣性遺伝の出血性素因です。

血液検査では、血漿フィブリノゲン抗原量が感度以下または極めて低値となることが知られています。


著者らは、頭蓋内出血をきたした男性新生児で、精査の結果、新生児期の時点で先天性無フィブリノゲン血症と診断された症例を報告しています。

家族調査の結果、興味あることに、すべての血縁者において何の症状も見られませんでした。

特に、発端者の姉および父親は、血漿フィブリノゲン抗原量が極めて低値でしたが、無症状でした。


今回の症例において注目すべき点としては、出生後も間もなくの早い時点において頭蓋内出血(自然出血)を発症したことがあげられました。

もう一点特筆すべき点として、この出血がすみやかに吸収されたことも挙げられます。

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:04| 出血性疾患