von Willebrand病の出血とQOL
von Willebrand(VWD)は、血友病とともに良く知られた、先天性出血性素因です。
典型例では幼少時からの鼻血などの粘膜出血で診断されますが、VWDであるにもかかわらず、そのように診断のなされていない、いわゆる隠れVWDの症例が多いのではないかと指摘されています。
今回の論文は、VWDのQOLについて論じています。
「大人のVon Willebrand病患者(中等症〜重症)におけるQOL」
著者名:De Wee EM, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 8: 1492-1499, 2010.
<論文の要旨>
von Willebrand(VWD)は、最も高頻度に見られる先天性出血性素因です(1/100人の発症率)。今までに、本疾患がQOLに与える影響を評価したものはありません。
著者らは、中等症〜重症のVWD患者における健康関連QOL(health-related quality of life : HR-QOL)を調査し、出血の重症度やVWDの型とHR-QOLが関連しているかどうか検討しました。
HR-QOLは、Short form (SF)-36で評価され、出血の重症度はBleeding Score (BS)で評価されました。
対象はVWD 509例(男性192例、女性317例)であり、年齢の中央値と幅は、男性45(16-87)歳、女性47(16-84)歳でした。
結果は、一般健康人と比較して、VWD症例におけるHR-QOLは低いものでした。
最も出血症状が高度なVWD例(BS>17)では、出血症状が軽症のVWD例と比較してHR-QOLは低かったです。
年齢、性、合併症、職業、学歴で一致させたところ、出血が高度であるほど、よりHR-QOLスコアは低値となりました(身体能力、就労制限、身体の痛み、全身健康状態、社会的役割の点で)。
以上、VWD患者では、一般健康人と比較してHR-QOLは低く、HR-QOLは出血の重症度と強く相関するものと考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:35| 出血性疾患