敗血症と凝固・DIC(8)活性化プロテインC(APC)の抗炎症効果
敗血症と凝固・DIC(7)活性化プロテインC(APC)の今後より続く
敗血症と凝固・DIC(8)活性化プロテインC(APC)の抗炎症効果
APCの抗炎症効果が注目される理由の一つとして、PC同様に生理的な抗凝固物質であるアンチトロンビンやTFPIが、敗血症に対して予後改善効果をきたさなかったという大規模臨床試験の結果に依存するところがあります。
Bernard GR, Vincent JL, Laterre PF, et al. Efficacy and safety of recombinant human activated protein C for severe sepsis. N Engl J Med. 2001; 344: 699-709.
Warren BL, Eid A, Singer P, Pillay SS, et al. Caring for the critically ill patient. High-dose antithrombin III in severe sepsis: a randomized controlled trial. JAMA. 2001; 286:1869-78.
Abraham E, Reinhart K, Opal S, et al. Efficacy and safety of tifacogin (recombinant tissue factor pathway inhibitor) in severe sepsis: a randomized controlled trial. JAMA. 2003 Jul 9;290(2):238-47.
Toussaint S, Gerlach H. Activated protein C for sepsis. N Engl J Med. 2009; 361: 2646-52.
もし、APCが抗凝固作用によって敗血症の予後を改善するのであれば、アンチトロンビンやTFPIにも同様の効果があっても良いはずという理論です。
APCの抗炎症効果や細胞保護効果は前述のように、APCがEPCRに結合し、PAR-1を切断、活性化するためと考えられてきました(図は次回の記事で)。
PAR-1は、トロンビンなどの活性型凝固因子と結合する場合には炎症を増強する反面(炎症と凝固のクロストーク)、APCと結合する場合は抗炎症作用を発揮するという相反する性格を有している点でも興味深いです。
(続く)敗血症と凝固・DIC(9)活性化プロテインC(APC)と凝固・線溶・炎症 へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:56| DIC