金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年11月21日

敗血症と凝固・DIC(9)活性化プロテインC(APC)と凝固・線溶・炎症


敗血症と凝固・DIC(8)活性化プロテインC(APC)の抗炎症効果より続く

関連記事:播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

プロテインC


敗血症と凝固・DIC(9)活性化プロテインC(APC)--凝固・線溶・炎症への影響

PCがAPCに転換しますとAPCの一部はEPCRから遊離してリン脂質膜に結合し、抗凝固活性を発揮します(FVaとFVIIIaの不活化)。

このことで、トロンビン形成量が低下しますので、線溶阻止因子TAFI(thrombin activatable fibrinolytic inhibitor)の活性化が抑制されます。

また、APCはPAIを抑制することでも、向線溶的に作用します。PS(プロテインS)は、これらの反応時の補酵素です。


APCは血管内皮のEPCRに結合しますと、APC・EPCR複合体は、PAR-1を活性化します。

その結果、おそらく細胞内におけるSphK1の亢進とS1P(sphingosine 1 phosphate、スフィンゴシン1リン酸)の細胞外への遊離を介して、S1P1(SIP受容体1)が活性化されます。

このことが、上図中の四角で囲んだ細胞保護作用や抗炎症作用につながっていきます。

 なお、図は以下の論文のものを改変しています。

Danese S, Vetrano S, Zhang L, et al. The protein C pathway in tissue inflammation and injury: pathogenic role and therapeutic implications. Blood. 2010; 115: 1121-1130.

 

(続く)敗血症と凝固・DIC(10)APCの抗炎症効果 へ

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:07| DIC