敗血症と凝固・DIC(11)APCの抗炎症効果と白血球
敗血症と凝固・DIC(11)APCの抗炎症効果と白血球
活性化プロテインC(APC)は、これまでの記事で書かせていただいた血管を反応の場とした抗炎症効果を発揮するのみならず、白血球を介した抗炎症効果も有していることがin vitroの実験で明らかになっています。
実際、EPCRは、好中球、単球/マクロファージ、好酸球、NK細胞でも発現しています。
Sturn DH, Kaneider NC, Feistritzer C, et al. Expression and function of the endothelial protein C receptor in human neutrophils. Blood. 2003; 102: 1499–1505.
Pereira C, Schaer DJ, Bachli EB, et al. Wnt5A/CaMKII signaling contributes to the inflammatory response of macrophages and is a target for the antiinflammatory action of activated protein C and interleukin-10. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2008; 28: 504–510.
これらの報告では、APCは主としてEPCRを介して、LPSによる単核球の炎症反応を抑制したり、白血球のアポトーシスや遊走反応を抑制することが明らかになっています。
マウス生体モデルを用いた検討はまだあまりありませんが、最近マウス敗血症モデルにおいて死亡率を低下させるのに、APCのCD8+樹状細胞への作用が重要な役割を演じているとの報告がみられています。
Kerschen E, Hernandez I, Zogg M, et al. Activated protein C targets CD8+ dendritic cells to reduce the mortality of endotoxemia in mice. J Clin Invest. 2010; 120: 3167–3178.
なお、敗血症においては活性化プロテインC(APC)の形成が低下していますが、プロテインC(PC)の肝における産生も低下しているという背景のもと、動物敗血症に対してPCを投与したところ、炎症性サイトカインの抑制と臓器障害を軽減して死亡率を低下させたという報告も見られています。
Messaris E, Betrosian AP, Memos N, et al. Administration of human protein C improves survival in an experimental model of sepsis. Crit Care Med. 2010; 38: 209-16.
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:30| DIC