金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年11月27日

認定血液検査技師試験の問題対策(凝固検査):検査血液学会

日本検査血液学会は、血液関連の学会の一つです。

比較的最近できた学会ですが、会員数が大きく伸びている勢いのある学会の一つです。

日本検査血液学会では、認定血液検査技師試験があるのですが、その問題の一つを紹介させていただきたいと思います(一部改変)。

関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)

 

以下のなかで、誤っているのはどれか。

a. 止血は血液と血管内皮下コラーゲンとの接触で始まる。

b. 血小板の粘着には、組織因子(tissue factor:TF)が必要である。

c. 血小板の一次凝集は可逆的である。

d. 凝集した血小板からセロトニンの放出が起きる。

e. 血小板の二次凝集は不可逆的である。

 

(解説)

血管が破綻しますと、血管内皮下コラーゲン(血小板活性化作用を有する)が露呈し、まず「血小板粘着」が起きます。

この際、血小板と血管内皮下コラーゲンの間に介在し、いわば糊的な役割を果たすのがvon Willebrand因子(VWF)です。血小板粘着時にVWFと結合するのが、血小板膜糖蛋白GPIb/IXです。


次いで、多数の血小板が集合、活性化して「血小板凝集」が起きます。

血小板活性化に伴い、血小板中のADPやセロトニンが放出され、これらの物質はさらに周囲の血小板を活性化します。

血小板凝集の際、血小板間に介在して糊的な役割を果たすのがフィブリノゲンです。

血小板凝集時にフィブリノゲンと結合するのが、血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIaです。

このような血小板を核として凝固活性化が進行しますと、最終的にはフィブリンが形成され止血血栓が強固となります。

 

血小板凝集には、粘着、変形のみで血小板からの放出を伴わない可逆的な一次凝集と、血小板からの放出を伴う不可逆的な二次凝集とがあります。

 

選択肢で、a,c,d,eは正しいです。

bは組織因子ではなく、von Willebrand因子(VWF)が正しいです。

なお、血小板膜糖蛋白GPIb/IXの先天性欠損症が、Bernard-Soulier症候群(巨大血小板の出現でも有名です)、血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIaの先天性欠損症が、血小板無力症(Glanzmann病)(血小板凝集能検査でADPの一次凝集が出現しないことでも有名です)です。

 

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:41| 医師国家試験・専門医試験対策