認定血液検査技師試験の問題対策(凝固検査):検査血液学会
日本検査血液学会は、血液関連の学会の一つです。
比較的最近できた学会ですが、会員数が大きく伸びている勢いのある学会の一つです。
日本検査血液学会では、認定血液検査技師試験があるのですが、その問題の一つを紹介させていただきたいと思います(一部改変)。
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以下のなかで、誤っているのはどれか。
a. 止血は血液と血管内皮下コラーゲンとの接触で始まる。
b. 血小板の粘着には、組織因子(tissue factor:TF)が必要である。
c. 血小板の一次凝集は可逆的である。
d. 凝集した血小板からセロトニンの放出が起きる。
e. 血小板の二次凝集は不可逆的である。
(解説)
血管が破綻しますと、血管内皮下コラーゲン(血小板活性化作用を有する)が露呈し、まず「血小板粘着」が起きます。
この際、血小板と血管内皮下コラーゲンの間に介在し、いわば糊的な役割を果たすのがvon Willebrand因子(VWF)です。血小板粘着時にVWFと結合するのが、血小板膜糖蛋白GPIb/IXです。
次いで、多数の血小板が集合、活性化して「血小板凝集」が起きます。
血小板活性化に伴い、血小板中のADPやセロトニンが放出され、これらの物質はさらに周囲の血小板を活性化します。
血小板凝集の際、血小板間に介在して糊的な役割を果たすのがフィブリノゲンです。
血小板凝集時にフィブリノゲンと結合するのが、血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIaです。
このような血小板を核として凝固活性化が進行しますと、最終的にはフィブリンが形成され止血血栓が強固となります。
血小板凝集には、粘着、変形のみで血小板からの放出を伴わない可逆的な一次凝集と、血小板からの放出を伴う不可逆的な二次凝集とがあります。
選択肢で、a,c,d,eは正しいです。
bは組織因子ではなく、von Willebrand因子(VWF)が正しいです。
なお、血小板膜糖蛋白GPIb/IXの先天性欠損症が、Bernard-Soulier症候群(巨大血小板の出現でも有名です)、血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIaの先天性欠損症が、血小板無力症(Glanzmann病)(血小板凝集能検査でADPの一次凝集が出現しないことでも有名です)です。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:41| 医師国家試験・専門医試験対策