血液内科(輸血学)問題:(兼)医師国家&専門医 試験対策
金沢大学 血液学系統講義試験が行われました。
平成22年12月14日(火)14:00〜15:00(60分)
問題紹介させていただきます。
今回は輸血学です。正答率も参考にしていただければと思います。
23.ABO型不適合赤血球輸血について正しいものはどれか。1つ選べ。
a) 死亡率は約5%である。
b) O+血をA+患者に輸血すると、ABO不適合輸血になる。
c) 起こった場合は、ショックやDIC、腎不全に備える。
d) バイタルサインを測定したのち輸血を中止する。
e) 人為的ミスが原因になることは少ない。
解説
a) 死亡率は約20%である。
b) ABO異型適合輸血である。
c) 正しい。
d) バイタルサイン測定前に輸血を中止する。
e) 人為的ミスが原因になることが多い。
正答 c)
正答率:90.6%
24.不規則抗体について正しいものはどれか。1つ選べ。
a) 「不規則抗体=血液型関連抗体」である。
b) 不規則抗体の陽性率は約20%である。
c) 妊婦には不規則抗体検査を行うべきである。
d) 自然抗体は主にIgGである。
e) 免疫抗体は主に不適切な予防接種により産生される。
解説
a) 「不規則抗体=A抗体・B抗体以外の血液型関連抗体」である。
b) 不規則抗体の陽性率は約2%である。
c) 正しい。
d) 自然抗体は主にIgMである。
e) 免疫抗体は主に輸血・妊娠・移植により産生される。
正答 c)
正答率:91.2%
25.輸血療法に関して正しいものはどれか。1つ選べ。
a) 体重40kgの患者に赤血球製剤を2単位輸血すれば、Hbは約1 g/dL増加する。
b) 輸血した血小板の約10%は脾臓に捕捉される。
c) 血清アルブミン値2.5 g/dLは、アルブミン投与の絶対適応である。
d) 新鮮凍結血漿は、融解後3時間以内に輸注する。
e) アルブミン投与後の血管回収率は通常90%である。
解説
a) Hbは約2 g/dL増加する。1単位輸血後のHb増加=40/体重。
b) 輸血した血小板の1/3が脾臓に捕捉される。
c) 低アルブミン血症だけではアルブミン製剤の適応はない。
d) 正しい。
e) アルブミン投与後の血管回収率は通常40%程度である。
正答 d)
正答率:97.9%
26.血液製剤に関して正しいものはどれか。1つ選べ。
a) 400 mL全血献血から1単位の赤血球製剤ができる。
b) 免疫グロブリン製剤は、生物由来製品感染症等被害救済制度の対象外である。
c) 凍結赤血球製剤は、まれな血液型へ対応するため用いられる。
d) 血液製剤から白血球除去を行う目的は、有効性向上である。
e) 血液製剤には、人以外の動物血を原料として製造された医薬品も含まれる。
解説
a) 200 mL全血献血から1単位の赤血球製剤ができる。
b) 免疫グロブリン製剤も、生物由来製品感染症等被害救済制度の対象である。
c) 正しい。
d) 目的は毒性予防である。
e) 血液製剤は、人血を原料として製造された医薬品である。
正答 c)
正答率:86.5%
27.血液製剤に関して誤っているものはどれか。1つ選べ
a) 赤血球製剤は2-6℃で保存する。
b) 赤血球製剤の有効期間は採血後21日間である。
c) 血漿製剤の有効期間は採血後1年間である。
d) 血小板製剤の有効期間は採血後4日である。
e) 血液製剤を生理食塩水と併用することはできない。
解説
a) 正しい。
b) 正しい。
c) 正しい。
d) 正しい。
e) 生理食塩水のみ併用可能である。
正答 e)
正答率:92.7%
28.輸血前検査に関して誤っているものはどれか。1つ選べ。
a) 主検査は交差適合試験の一種である。
b) ABO式血液型検査の原則は、2回採血・2回検査である。
c) 患者のHIV・HBV・HCV検査を行う。
d) ABO式血液型検査・RhD式血液型検査・不規則抗体検査を合わせてT&Sと呼ぶ。
e) Rh陽性とは一般にRhD・C・E抗原が全て陽性であることを指す。
解説
a) 正しい。
b) 正しい。
c) 正しい。
d) 正しい。
e) Rh陽性とは一般にRhD抗原陽性を指す。
正答 e)
正答率:90.6%
・造血幹細胞移植入門(インデックス)へ
・肝障害/黄疸症例の抗がん剤治療(7回シリーズ)
・腎障害と抗がん剤治療(5回シリーズ)
・HEPAフィルターとLAF(3回シリーズ)
・造血幹細胞移植
・移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断
・血球貪食症候群(HPS)(8回シリーズ)
・溶血性貧血(PNH、AIHAほか) (8回シリーズ)
・造血幹細胞移植後の再発(4回シリーズ)
・造血幹細胞移植前処置としてのATG(6回シリーズ)
・播種性血管内凝固症候群(DIC:図解シリーズ)
【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:55| 医師国家試験・専門医試験対策