金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年01月09日

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対するリツキシマブ治療

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療は、ピロリ菌の除菌療法によって大きな進展がありましたが、それでもやはり難治の症例は少なくありません(ピロリ菌と特発性血小板減少性紫斑病(ITP))。

近年、リツキシマブが多くの自己免疫性疾患に応用されるようになるなかで、ITPに対する使用例も増えているようです。この場合、短期的な効果のみならず、長期的な効果はどうなのでしょうか。

今回紹介させていただく論文は、この点を論じています。



「ITPに対するリツキシマブ治療(持続的な寛解例は?)

著者名:Aleem A, et al.
雑誌名:Int J Hematol 92: 283-288, 2010.


<論文の要旨>

標準的な治療に反応しない特発性血小板減少紫斑病(ITP)の治療には難渋します。最近、リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)がITPに対して有効との報告もみられます。

著者らは再燃性または不応性のITP24症例に対して29回のリツキシマブ投与を行いました(後方視的検討)。


その結果、有効率は、19/29(66%)でした。

治療開始から反応がみられるまでの中央値は3週(1〜20週)であり、効果持続の中央値は13週間(1週〜55ヶ月)でした。

効果持続は短期間であり、中央値22ヶ月(2〜70ヶ月)の経過観察期間において、10回(34%)では6ヶ月後においても効果が持続し、7回(24%)では1年以上の効果が持続し、直近の診察時点において効果が持続していたのは5症例のみでした。

摘脾術が行われていた症例では有意に反応不良でした(P=0.034)。

リツキシマブ治療に失敗し、摘脾術を含む数多くの治療歴のある症例では、その後の治療成績も不良でした。

以上、リツキシマブは、再発性または不応性のITPの一部の症例に対して有効ですが、効果が持続する症例は少ないと考えられました。

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:03| 出血性疾患