軽症血友病AとDDAVP(デスモプレシン)
抗利尿ホルモン製剤のDDAVP(デスモプレシン)は、von Willebrand病の治療薬としても使用されることがあることは、医師国家試験にも出るくらいに有名です(von Willebrand病:医師国家試験 問題対策)。
このDDAVPですが、軽症血友病Aにも使用されることがあり、今回紹介させていただく論文はこの点をまとめています(止血剤の種類と疾患)。
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「軽症血友病Aにおけるデスモプレシンの使用」
著者名:Franchini M, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 21: 615-619, 2010.
<論文の要旨>
von Willebrand病(type 1)や軽症の血友病Aにおいて、血漿中の第VIII因子やvon Willebrand因子活性(vWF)を上昇させるために、合成バソプレシン類似体であるデスモプレシン(DDAVP)がしばしば治療用として用いられています。
軽症血友病AやvWDにおける出血の予防や止血治療としてDDAVPを使用することに関しては、この30年間において多くの臨床経験が蓄積されており、止血効果と安全性については確立してきました。
本論文においては、DDAVPの作用機序、血症血友病Aにおける生物学的効果についてまとめられています。また、今までに行われてきた特に重要な臨床試験の結果についても概説されています。
興味のある方は、是非とも原文をお読みいただきたいと思います。
<参考> 血友病治療ガイドライン(日本血栓止血学会)より:
・ 中等症と軽症の血友病Aの軽〜中等度の出血には、DDAVPを第一選択とする。
・ 0.2〜0.4μg/kgを20mlの生理食塩水に混和し、10〜20分かけ緩徐に静注する。
・ ただし、本治療法は繰り返し投与すると効果が減弱するので、重度の出血症状ないし大手術の際は第VIII因子製剤の投与をためらってはならない。
・ 重症血友病Aと、血友病Bに対しては効果はない。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43| 出血性疾患