血友病以外の難治性出血と遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)
前回の記事(遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)の安全性と血栓症:N Engl J Med 363 : 1791-1800, 2010.)に引き続いて、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)の保険適応外使用の論文です。
今回は、発展途上国(レバノン)での現状です。
「血友病以外の難治性出血とrFVIIa(発展途上国の三次救急での経験)」
著者名:Musallam KM, et al.
雑誌名:Clin Appl Thromb Hemost 16: 658-662, 2010.
<論文の要旨>
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)は血友病以外の難治性出血に対しても使用が拡大されてきていますが、血栓症の有害事象や有効性に関する懸念も指摘されています。
著者らは、発展途上国(レバノン)三次救急における4年間の経験について述べています。
対象は49症例であり、そのうち28.6%は小児例でした。
頻度の多い出血性疾患は、頭蓋内出血、腹部大動脈手術、大手術、播種性血管内凝固症候群(DIC)でした。
全症例において止血または有意な出量の減少がみられました。
1症例でのみ血栓症の有害事象がみられました。
全体としては12症例(24.4%)が死亡しましたが、rFVIIaの使用との関連性が示唆された死亡は1例のみでした。
また、rFVIIa使用後に、輸血使用量は有意に減少しました。
以上、血友病以外の難治性出血に対しても、rFVIIaは治療選択肢にあげられるべきと考えられました。
しかし、医療資源の限られた発展途上国においては、厳格なアルゴリズムに従って使用されるべきと考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:24| 出血性疾患