金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年01月20日

ITPと免疫グロブリン大量療法(用量と効果)

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対する、免疫グロブリン大量療法は、一過性に血小板数を上昇させる治療法として、しばしば適脾術とセットで行われる治療法です(参考:ピロリ菌と特発性血小板減少性紫斑病(ITP))。

臨床医の発想としては、より大量に使用するほど効果が高いように感じるのですが、実際はどうなのでしょうか。

今回紹介させていただき論文は、この点を論じています。

 

「急性ITP症例に対する免疫グロブリン製剤の用量の違いが効果に与える影響について(13臨床試験のメタ解析)

著者名:Qin YH, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 21: 713-721, 2010.


<論文の要旨>

著者らは、免疫グロブリンの用量によって急性の特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対する治療効果が異なるかどうか検討しました。

大量免疫グロブリン(HD-IVIG)少量免疫グロブリン(low-IVIG)を比較した無作為コントロール試験(RCTs)が抽出されました(Rev Man 4.2.8 : The Cochrane Collaboration, Oxford, UK)。

13のRCTs(646症例)が検討されました。


メタ解析の結果、有効率、止血までの期間、血小板数上昇までの日数、治療開始1週間および2週間後の血小板数、血小板数がピークを迎えるまでの日数、ピーク値、慢性ITPに移行する率、いずれにおいても高用量と小用量の両群間に有意差はみられませんでした。

しかし、有意事象はlow-IVIGにおいて有意に少ないという結果でした。

以上、low-IVIGは、HD-IVIGと比較して有効性や慢性ITPへの移行の点を有意差はなく、有害事象も有意に少ないものと考えられました。

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:45| 出血性疾患