金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2011年02月18日

北陸血管病変研究会のご案内(冨山佳昭先生の講演要旨)

第12回北陸血管病変研究会


日時:平成23年3月3日(木) 18:20〜20:30
場所:ホテル日航金沢 3階 孔雀の間

 

製品紹介

PGI2誘導体製剤 プロサイリン錠20 科研製薬(株)


開会の辞 金沢大学医薬保健研究域医学系細胞移植学 教授  中尾 眞二 


一般演題
座長 金沢大学 循環器内科             教授 山岸 正和 先生

「脂質メディエーター スフィンゴシン−1−リン2型受容体S1PR2は粥状動脈硬化に関与する」

王 飛、岡本 安雄、吉岡 和晃、多久和 典子、山本 靖彦、多久和 陽
金沢大学医学系研究科 血管分子生理学


「ヘムオキシゲナーゼ—1による凝固線溶系の制御」
丸山慶子1、森下英理子1,2、関谷暁子1、朝倉英策2、大竹茂樹1,2
谷内江昭宏3、中尾眞二2
1.金沢大学大学院医学系研究科病態検査学
2.金沢大学医薬保健研究域医学系細胞移植学
3.金沢大学医薬保健研究域医学系血管発生発達病態学


「冠動脈ステント治療における新生内膜増殖:動脈硬化粥腫進展・退縮からの解析」
多田隼人、川尻剛照、高畠 周、坪川俊成、今野哲雄、林 研至、内山勝晴、井野秀一、山岸正和
金沢大学附属病院 循環器内科
 

特別講演

座長 金沢大学大学院医学系研究科血管分子生理学 教授 多久和 陽 先生

「アテローム血栓症の分子機構:血小板の新たな役割」


大阪大学医学部附属病院 輸血部 病院教授 冨山 佳昭 先生

 


《講演要旨》


病的血栓形成の予防とその制御は、現代医療に課せられた大きな課題である。

動脈血栓の主体は血小板であり、動脈硬化進展と血栓形成は互いの病態形成に影響しあうため、最近ではアテローム血栓症(atherothrombosis)として捉えられている。

最近、動脈硬化の発症・進展には単球/マクロファージ系の関与のみならず、それに先んじて血小板粘着を含む微小血栓形成が関与していることが明らかとなってきた。活性化した血小板はIL-1β、CD40L、RANTESなどのサイトカインを放出し、血管内皮や単球/マクロファージの活性化を誘導し動脈硬化を進展させるわけである。この観点から血栓形成抑制は、ひいては動脈硬化進展も抑制しうることが期待される。

一方、血栓形成は血小板表面の種々の接着分子を介した接着現象であり、血栓形成初期には血小板膜糖蛋白GPIb-IXとvon Willebrand因子の結合により血小板が粘着し、それに引き続いて活性化した血小板膜GPIIb-IIIa(インテグリンαIIbβ3)を介して血小板どうしの凝集塊を生じ血栓を形成する。

さらにトロンビンやトロンボキサンA2合成、濃染顆粒からのADPの放出を生じ、これらの血小板活性化物質は、positive feedback機構により血小板をさらに活性化し、血栓をより強固にすると考えられる。

しかしながら、一方では血栓形成をnegativeに制御している分子の存在が明らかにされており、演者らはNOやPGI2に加え、新たにadiponectinが血小板機能に抑制的に作用することを報告している。

このように血栓形成はその促進因子と抑制因子のバランスにより制御されている。

本講演では、これらの制御因子の中で、血栓形成のセンサー分子としてのP2Y12受容体およびGPVI、CLEC-2に焦点をあて、その欠損患者の成績も含め講演する。

 

閉会の辞 金沢大学医薬保健研究域医学系 血管分子生物学 教授 山本 博 先生



共催 北陸血管病変研究会 科研製薬株式会社

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:20| 研究会・セミナー案内