医師国家試験問題(第105回):血小板数増加
血液内科(血栓止血領域)の医師国家試験問題(第105回)問題を紹介させていただきます。
血小板が増加するのはどれか。
a. 肝硬変
b. 血友病
c. 真性多血症
d. 多発性骨髄腫
e. Glanzmann病
f. 巨赤芽球性貧血
g. 急性骨髄性白血病
h. 播種性血管内凝固(DIC)
i. 溶血性尿毒症症候群(HUS)
(解説)
a 肝硬変では、脾腫を伴った汎血球減少症がみられやすいです。
b 血友病は、伴性劣性遺伝する先天性出血性素因です。関節内出血や筋肉内出血が特徴的な臨床症状です。活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が延長しますが、プロトロンビン時間(PT)や出血時間は正常です。血小板数は正常です。血液凝固検査入門(図解シリーズ)
c 真性多血症では、赤血球数増加のみならず、しばしば白血球数や血小板数が増加します。
d 多発性骨髄腫では、しばしばしばしば貧血、血小板数減少がみられます。
e Glanzmann病(血小板無力症)は、血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIaが欠損する先天性出血性素因です。血小板機能が低下することを反映して、出血時間が延長します(PT&APTTは正常です)。血小板数は正常です。
f 巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12欠乏や葉酸欠乏が原因となります。大球性貧血、汎血球減少症がみられます。
g 急性骨髄性白血病では、血小板数は低下します。
h 播種性血管内凝固症候群(DIC)では、微小血栓が多発する結果、血小板や凝固因子といった止血因子は消費性に低下します。その他、FDP上昇、Dダイマー上昇、フィブリノゲン低下、PT延長、トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)上昇などが重要所見です。
i 溶血性尿毒症症候群(HUS)では、1)微小血管障害性溶血性貧血、2)血小板数減少、3)急性腎不全が、3主徴です。病原性大腸菌の産生するVero毒素が原因の一つであることは有名です。
(血小板数の上昇と低下)
上記の疾患において、
血小板数が低下する疾患:肝硬変、多発性骨髄腫、巨赤芽球性貧血、急性骨
髄性白血病、播種性血管内凝固(DIC)、溶血性尿毒症症候群(HUS)
血小板数が上昇する疾患:真性多血症
血小板数が正常である疾患:血友病、Glanzmann病
(正答) c
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:01| 医師国家試験・専門医試験対策