金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年02月17日

医師国家試験問題:血液内科(血栓止血領域)

第105回医師国家試験問題より、血液内科(血栓止血領域)に関連した問題を紹介させていただきます。

 

Schönlein- Henoch紫斑病の血液検査で正しいのはどれか?

a 出血時間の延長
b 血小板数の減少
c 第XIII因子の低下
d プロトロンビン時間(PT)の延長
e 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長


(解説)

a 出血時間が延長するのは、1)血小板数の減少、2)血小板機能の低下、3)血管壁の脆弱性のある場合、の3つです。これらのいずれも満たさなければ、出血性疾患であっても出血時間は正常です。

b 本疾患では血小板数は正常です。

c 本疾患では第XIII因子の低下がみられることがあり、治療としても第XIII因子製剤が使用されることがあります。

d 本疾患ではPTは正常です。PTが延長する代表的な疾患として、ビタミンK欠乏症、肝不全、DICなどがあります。

e 本疾患ではAPTTは正常です。APTTが延長する代表的な疾患として、血友病A、血友病B、von Willebrand病、ループスアンチコアグラントなどがあります。

 

(疾患解説)

Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病)

1.    小児に多い (成人にもあり)
2.    血管性出血性素因。毛細血管の透過性が亢進する。皮膚出血斑( 特に、下肢に左右対称性の紫斑 )を中心とした出血傾向。上気道感染 が先行。
3.    時に, 腹部症状(腸重積、腹痛、下血など)、関節痛、血尿、腎障害(IgA腎症に類似)を伴う。
4.    全身性の血管炎が本態。血管壁にIgAの沈着 。
5.    PT、APTT、出血時間、血小板数は正常。時に、第XIII因子が低下。
6.    腎障害がなければ、予後は良好。自然治癒も多い。

 

(正答) 

c

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:14| 医師国家試験・専門医試験対策