2011年03月02日
GVHD予防/CI+メソトレキセート:造血幹細胞移植入門(46)
造血幹細胞移植入門:GVHD予防/カルシニュリン阻害薬+メソトレキセート
GVHDの標準予防法は、カルシニュリン阻害薬(CI)+メソトレキセート(MTX)です。
CIの2剤、シクロスポリン(CSP)・タクロリムス(TAC)のGVHD予防効果に本質的差異は少ないです。
CIの毒性には、腎毒性・高カリウム血症・低マグネシウム血症・高血糖・高血圧などがあります。
多毛・歯肉腫張はCSPに多く、振戦はTACに多いです。
特にtransplantation-associated microangiopathy (TAM)・posterior reversible encephalopathy syndromeは重篤な毒性であり、発症が疑われればCIを減量か中止します。
CIの投与法は日本造血細胞移植学会ガイドラインに従います。
GVHD予防法プロトコール(CSP+MTX または TAC+MTX)
MTX
15または10 mg/m2 (i.v.)day 1
10または7 mg/ m2 (i.v.)day 3, 6,(11)
CSP
3 mg/kg(d.i.v) 2分割または持続投与(day -1から)
経口投与可能になれば、d.i.v.の2-3倍量を2分割投与
Day 50 以降週に5%ずつ減量、GVHD発症なければ6か月で中止。
TAC
0.02-0.03 mg/kg(d.i.v.)持続投与( day -1から)
経口投与可能になれば、d.i.v.の2-3倍量を2分割投与
Day 50以降週に5%ずつ減量、GVHD発症なければ6か月で中止
腎障害により適宜増減します。
Przepiorka D, Devine S, Fay J, Uberti J, Wingard J. Practical considerations in the use of tacrolimus for allogeneic marrow transplantation. Bone Marrow Transplant. 1999;24:1053-1056.
Hendriks MP, Blijlevens NM, Schattenberg AV, Burger DM, Donnelly JP. Cyclosporine short infusion and C2 monitoring in haematopoietic stem cell transplant recipients. Bone Marrow Transplant. 2006;38:521-525.
腎障害に応じたCSP・TAC用量調整
1. CSP
血清クレアチニン値 CSP量
1.0-1.5 x baseline 0-25%減量
1.5-2.0 x baseline 25-50%減量*1
2.0-2.5 x baseline 50-75%減量*1
>2.5 x baseline または ≥2.0 mg/dL 中断、腎機能改善後50%量で再開*1
2. TAC
血清クレアチニン値 TAC量
1.0-1.5 x baseline 0-25%減量
1.5-2.0 x baseline 50-75%減量*1
>2.0 x baseline 中断、腎機能改善後50%量で再開*1
*1. 肝障害やシトクロムP450抑制性薬剤使用時は、CSP・TACのクリアランスが遅延する恐れがあるので、可能な限り頻回に血中濃度を測定して調製する。
なお、末梢血幹細胞移植やHLA不適合移植など、GVHDのリスクが高いと予想される場合、GVHD未発症でも、減量開始時期を2-3か月まで遅らせても良いです。
短期MTXの原法は4回法ですが、国内は海外よりGVHDが少ないため、day 11を省略する3回法が多いです。
ただし、末梢血幹細胞移植の場合、3回法は生存率を悪化させる可能性が示唆されています。
Bensinger W. Individual patient data meta-analysis of allogeneic peripheral blood stem cell transplant vs bone marrow transplant in the management of hematological malignancies: indirect assessment of the effect of day 11 methotrexate administration. Bone Marrow Transplant. 2006;38:539-546.
MTXの1回投与量を減じる変法は、HLA一致同胞間移植を中心によく行われています。
・幼若血小板比率(IPF)/網血小板(10回シリーズ)
CIの2剤、シクロスポリン(CSP)・タクロリムス(TAC)のGVHD予防効果に本質的差異は少ないです。
CIの毒性には、腎毒性・高カリウム血症・低マグネシウム血症・高血糖・高血圧などがあります。
多毛・歯肉腫張はCSPに多く、振戦はTACに多いです。
特にtransplantation-associated microangiopathy (TAM)・posterior reversible encephalopathy syndromeは重篤な毒性であり、発症が疑われればCIを減量か中止します。
CIの投与法は日本造血細胞移植学会ガイドラインに従います。
GVHD予防法プロトコール(CSP+MTX または TAC+MTX)
MTX
15または10 mg/m2 (i.v.)day 1
10または7 mg/ m2 (i.v.)day 3, 6,(11)
CSP
3 mg/kg(d.i.v) 2分割または持続投与(day -1から)
経口投与可能になれば、d.i.v.の2-3倍量を2分割投与
Day 50 以降週に5%ずつ減量、GVHD発症なければ6か月で中止。
TAC
0.02-0.03 mg/kg(d.i.v.)持続投与( day -1から)
経口投与可能になれば、d.i.v.の2-3倍量を2分割投与
Day 50以降週に5%ずつ減量、GVHD発症なければ6か月で中止
腎障害により適宜増減します。
Przepiorka D, Devine S, Fay J, Uberti J, Wingard J. Practical considerations in the use of tacrolimus for allogeneic marrow transplantation. Bone Marrow Transplant. 1999;24:1053-1056.
Hendriks MP, Blijlevens NM, Schattenberg AV, Burger DM, Donnelly JP. Cyclosporine short infusion and C2 monitoring in haematopoietic stem cell transplant recipients. Bone Marrow Transplant. 2006;38:521-525.
腎障害に応じたCSP・TAC用量調整
1. CSP
血清クレアチニン値 CSP量
1.0-1.5 x baseline 0-25%減量
1.5-2.0 x baseline 25-50%減量*1
2.0-2.5 x baseline 50-75%減量*1
>2.5 x baseline または ≥2.0 mg/dL 中断、腎機能改善後50%量で再開*1
2. TAC
血清クレアチニン値 TAC量
1.0-1.5 x baseline 0-25%減量
1.5-2.0 x baseline 50-75%減量*1
>2.0 x baseline 中断、腎機能改善後50%量で再開*1
*1. 肝障害やシトクロムP450抑制性薬剤使用時は、CSP・TACのクリアランスが遅延する恐れがあるので、可能な限り頻回に血中濃度を測定して調製する。
なお、末梢血幹細胞移植やHLA不適合移植など、GVHDのリスクが高いと予想される場合、GVHD未発症でも、減量開始時期を2-3か月まで遅らせても良いです。
短期MTXの原法は4回法ですが、国内は海外よりGVHDが少ないため、day 11を省略する3回法が多いです。
ただし、末梢血幹細胞移植の場合、3回法は生存率を悪化させる可能性が示唆されています。
Bensinger W. Individual patient data meta-analysis of allogeneic peripheral blood stem cell transplant vs bone marrow transplant in the management of hematological malignancies: indirect assessment of the effect of day 11 methotrexate administration. Bone Marrow Transplant. 2006;38:539-546.
MTXの1回投与量を減じる変法は、HLA一致同胞間移植を中心によく行われています。
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【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:28| 血液疾患(汎血球減少、移植他)