金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年03月13日

過多月経とトラネキサム酸(トランサミン)

過多月経は、von willebrand病(VWD)などの先天性出血性素因の診断のきっかけになることがあります(von Willebrand病と過多月経)。

ただし、原因がはっきりしない過多月経もありえます。

今回紹介させていただく論文は、過多月経のコントロール方法について論じています。

 

 

「過多月経の女性に対する抗線溶薬の投与

著者名:Philipp CS.
雑誌名:Thromb Res Suppl 3: S113-S115, 2011.


<論文の要旨>

過多月経は、局所の線溶活性化と関連しているものと考えられています。過多月経の女性(出血性素因の有無を問わずに)に対して抗線溶薬を用いると、出血量は半減してQOLが向上すると報告されています。


従来のほとんどの臨床試験では、抗線溶薬として合成リジン誘導体であるトラネキサム酸(商品名:トランサミン)が用いられてきました。

それらの報告では、過多月経症例に対してトラネキサム酸と、ブラセボ、NSAID、プロゲステロン製剤との比較検討が行われ、トラネキサム酸の効果が最も高いことが示されています。


出血性素因を有した過多月経症例に対して、トラネキサム酸内服治療とデスモプレシン点鼻治療を比較検討した報告においても、有意にトラネキサム酸が有効であることが示されています。

以上、抗線溶薬は、過多月経症例に対して(出血性素因の有無の如何にかかわらず)、出血量を減らしQOLを向上させる上で有効と考えられました。

 

(補足)血栓性素因の症例に対するトラネキサム酸の投与は、致命的な血栓症を併発することがありますので禁忌です。

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:04| 出血性疾患