金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年03月30日

急性GVHDの二次治療:造血幹細胞移植入門(49)

造血幹細胞移植入門(インデックス)


造血幹細胞移植入門:急性GVHDの二次治療

二次治療

一次治療抵抗例の予後は不良です。

ATGや高用量ステロイド、CSPからTACへの変更、CD5抗毒素(以下全て保険未承認)、抗IL-2レセプター抗体、TNFα阻害薬、体外光化学療法(ECP)MMF間葉系幹細胞(MSC)療法といった二次治療(サルベージ治療)が試みられていますが、標準治療は確立していません。

強力免疫抑制療法は、急性GVHDが改善しても、重症感染症の誘発により相殺されるという、長年のジレンマがあります。


MSC

MSC療法の第II相試験では、難治性急性GVHD患者の55%に完全寛解が得られました。輸注するMSCが患者のHLAに無関係のthird partyで良いことも利点の1つです。

Le Blanc K, Frassoni F, Ball L, et al. Mesenchymal stem cells for treatment of steroid-resistant, severe, acute graft-versus-host disease: a phase II study. Lancet. 2008;371:1579-1586.



ECP

ECPには、抗炎症作用・樹状細胞制御・調製性T細胞増加・リンパ球アポトーシス促進などの効果があります。第II相試験では、難治性急性GVHD患者の60-80%に完全寛解が得られました。

Gatza E, Rogers CE, Clouthier SG, et al. Extracorporeal photopheresis reverses experimental graft-versus-host disease through regulatory T cells. Blood. 2008;112:1515-1521.


MMF
MMFは、急性・慢性GVHDの二次治療に多用され、有効率は30-90%です。

Mielcarek M, Storer BE, Boeckh M, et al. Initial therapy of acute graft-versus-host disease with low-dose prednisone does not compromise patient outcomes. Blood. 2009;113:2888-2894.

Takami A, Mochizuki K, Okumura H, et al. Mycophenolate mofetil is effective and well tolerated in the treatment of refractory acute and chronic graft-versus-host disease. Int J Hematol. 2006;83:80-85.


MMFは、CIと異なり、血管内皮細胞障害やgraft-versus-leukemia効果への影響はないと考えられています。

国内では、MMFを500-1000 mgで開始し、1000-2000 mgで改善する場合が多いです。




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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:48| 血液疾患(汎血球減少、移植他)