金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2011年03月29日

DICの多様性:準備状態・(非)顕性・(非)炎症性


播種性血管内凝固症候群(DIC)の分類(多様性)の記事を続けたいと思います。



DIC準備状態、pre-DIC、切迫DIC】

予後不良のDICの予後を少しでも良くしたいという臨床的ニーズから、早期治療を行いやすくするために、これらの用語が用いられることがあります。

これらに関しても明確な定義がある訳ではありませんが、例えば厚生省DIC診断基準でDICと診断されるような症例であっても、その前段階としてDIC準備状態、pre-DIC、切迫DICと言える時期があるのではないかという考え方が背景にあります。



【顕性DICと非顕性DIC】

DICの臨床症状の有無による分類法です。

顕性DIC(overt DIC)は、DICの臨床症状である出血症状や臓器症状(参考:DICの症状)が出現した場合に使用し、非顕性DIC(non-overt DIC)はDICの臨床症状が出現していない場合に使用されます。



【炎症性DICと非炎症DIC】


炎症性DIC(inflammatory DIC)は、感染症に合併したDICに代表されるように、LPSや炎症性サイトカインの関与が大きいDICです。

非炎症性DIC(non-inflammatory DIC)は、造血器悪性腫瘍、固形癌などに合併したDICに代表されるようにLPSや炎症性サイトカインの関与に乏しいです。

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:05| DIC