2011年05月06日
金沢大学第三内科「血栓止血研究グループ」紹介(3)
金沢大学第三内科「血栓止血研究グループ」紹介(2)より続く。
血栓止血研究室(血管診療グループ)
抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する基礎的検討・臨床研究についても精力的にとり組んできました。
国際血栓止血学会において、抗リン脂質抗体の1つである「ループスアンチコアグラント(LA)」の測定・診断ガイドラインの改訂が行なわれたことから、この改定ガイドラインに則った、我が国におけるLA診断法の標準化に向けた取り組みを行っています。
ここ数年、新規抗リン脂質抗体として注目されている「フォスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体(aPS/PT)」については、他施設との共同研究を進めています。
これらの研究の結果、IgM型aPS/PTは微小循環障害を来たし、その結果、妊娠初期流産や網状皮斑、皮膚潰瘍などの皮膚症状をもたらすとともに、劇症型抗リン脂質症候群の原因抗体であることが明らかとなってきました。
外来には、血栓症の患者さんが多数紹介受診され通院されていますが、APSにより死産を経験したことを公表し、適切な治療によりお子様を授かった女優さんの影響などもあり、不育症患者様の紹介あるいは自分から希望しての受診が多いです。
APSはいまだ不明の部分も多い疾患群ですが、徐々に解明され、コントロール可能となりつつある部分もあります。
【リンク】
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:35| 血栓止血(血管診療)