金沢大学第三内科「血栓止血研究グループ」紹介(4)
金沢大学第三内科「血栓止血研究グループ」紹介(3)より続く。
血栓止血研究室(血管診療グループ)
先天性凝固障害の分子病態に関する研究としては、森下および保健学科の学生らを中心に、凝固因子および凝固阻止因子の分子異常について幅広く研究しています。
一般的には先天性凝固因子欠損症では出血傾向を、凝固阻止因子欠損症では血栓傾向を呈することが知られています。
参考;血友病
そのような異常を呈する症例について家族を含めて遺伝子解析を行い、その変異部位の同定を行っています。
今までにプロトロンビン異常症、第VII因子・第X因子・第XI因子・第XII因子・プレカリクレインなどの凝固因子欠損症の解析、またプロテインC・プロテインS(PS)・アンチトロンビンなどの凝固阻止因子欠損症の解析を幅広く行なっており、世界でも報告のない新たな変異部位を次々と明らかにしました。
参考:先天性血栓性素因と病態:アンチトロンビン・プロテインC&S欠損症
現在では、全国各地から様々な欠損症の解析を依頼されており、森下らは嬉しい悲鳴をあげているようです。
さらに、組み換えDNAの手法を用いて異常分子を作成し、その機能解析の研究を、保健学科助教の関谷および大学院生の下川原、柄戸を中心に行っております。
北陸地域は先天性凝固異常症の患者様が比較的多いと考えております。
特に、先天性PS欠損症は日本人に多く、中でもPS Tokushima変異は一般人の55人に1人は異常アレルを有しているとの報告があります。
不育症の原因としてもPS欠損は重要であり、何かおかしいなと思われたときは、いつでも気軽にご相談ください。
【リンク】
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:44| 血栓止血(血管診療)