遺伝子組換え活性型第VII因子製剤の保険適応外使用の現状
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(ノボセブン)は、本来は第VIII因子インヒビターに対してのみの保険適応ですが、あまりにも止血効果がすばらしいため、全世界的に適応外使用がしばしば行われているというのが現状です。
今回紹介させていただく論文は、適応外使用の米国における現状を報告しています。
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「遺伝子組換え活性型第VII因子製剤の保険適応外使用(合衆国)」
著者名:Logan AC, et al.
雑誌名:Ann Intern Med 154: 516-522, 2011.
<論文の要旨>
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa:日本での商品名はノボセブン)は、インヒビター保有の血友病患者の出血に対してのみ保険適応となっていますが、適応外使用も多いです。
著者らは、米国における適応外使用の現状を調査しました。
調査対象はrFVIIaの投与が行われた12,644入院(2000.1.1〜2008.12.31)です。
2000年から2008年にかけて、rFVIIaの適応外使用は140倍以上になっており、病院で使用された18,311回のうち97%は適応外使用でした。
一方、血友病患者に対する使用は4倍未満の増加にすぎませんでした(2008年に使用されたrFVIIa 2.7%)。
rFVIIaの使用が多かったのは、成人および小児の心血管手術(29%)、体や頭部の外傷(29%)、頭蓋内出血(11%)でした。
rFVIIaが使用された症例の院内死亡率は27%であり、43%の症例では退院となりました。
以上、rFVIIaの適応外使用は、本来の適応内使用に比べてはるかに多いことが明らかになりました。
ただし、適応外使用に関しての充分なエビデンスがないことは懸念材料と考えられました。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43| 出血性疾患