活性型第VII因子製剤(ノボセブン)適応外使用の是非
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤の保険適応外使用の現状より続く。
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(ノボセブン)は、第VIII因子インヒビターに対してのみの保険適応ですが、しばしば適応外使用が行われています。
今回紹介させていただく論文は、適応外使用に対して、警鐘を鳴らすような論文です。
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「遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)適応外使用の是非について」
著者名:Yank V, et al.
雑誌名:Ann Intern Med 154: 529-540, 2011.
<論文の要旨>
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)の保険適応は、インヒビター保有血友病に対する止血治療ですが、適応外使用が増加してます。
著者らはrFVIIa適応外使用の是非について、5疾患(頭蓋内出血、心手術、外傷、肝移植、前立腺摘出術)において文献的解析を行いました。
RCT16試験、比較観察26試験、比較対象のない22試験が検討対象となりました。
頭蓋内出血に関しては、死亡率はrFVIIaによって改善しませんでした。動脈血栓塞栓症は、rFVIIaの中等用量、高用量において有意に増加しました。
成人の心手術に関しては、rFVIIaの使用により死亡率には差が見られませんでしたが、血栓塞栓症は増加しました。
外傷に関しては、rFVIIaの使用により死亡率や血栓塞栓症には差がみられませんでしたが、ARDSは減少しました。
比較観察試験における死亡率は、RCTsよりも高い結果でした。
以上、今回検討した5疾患においては、rFVIIaの使用によって死亡率は低下しないものと考えられた。
むしろ、いくつかの病態においては血栓塞栓症を増加させるものと考えられた。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:55| 出血性疾患