2011年06月22日
ALLの出血&血栓症対策
急性リンパ性白血病(ALL)においては、出血、血栓症の両者の問題があります。
出血の原因は、骨髄抑制による血小板数減少や播種性血管内凝固症候群(DIC)の合併です。
血栓症の原因は、L-asparaginaseの使用(アンチトロンビンなどの凝固阻止因子が低下)やDICの合併です。
今回紹介させていただく論文では、著者らがどのように対策をたてているかを論じています。
「小児ALLにおける出血と血栓症対策」
著者名:Astwood E, et al.
雑誌名:Br J Haematol 152: 505-511, 2011.
<論文の要旨>
小児の急性リンパ性白血病(ALL)の治療に伴う出血や血栓症はまれではありません。
これらの発症頻度は年齢、合併症、治療プロトコールによっても異なりますが、治療開始して最初の数週間が最も多いことが知られています。
エビデンスレベルの高い予防、治療指針はありませんが、この論文では著者らの対処法を論じています。
1. 寛解導入治療中のフィブリノゲンやアンチトロンビン(AT)の定期的検査 →(著者らの見解;以下同様)臨床的に必要な時のみ測定。
2. 腰椎穿刺前の濃厚血小板輸注 → 血小板数1万/μL未満または出血症状があるときのみ。
3. 先天性血栓性素因の検査 → 行う場合には研究目的。
4. AT製剤の予防投与 → 一次予防または二次予防目的としては行っていない。
5. 予防的な抗凝固療法 → L-アスパラギナーゼを再投与する場合のみ、二次予防目的として行う。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:10| 出血性疾患