金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年06月25日

von Willebrand病の定期補充療法

重症血友病症例に対する定期補充療法の考え方は浸透してきたと思いますが、重症von Willebrand病(VWD)症例に対する定期補充療法は、まだ一般的ではないと思います。

今回紹介させていただく論文は、von Willebrand病の定期補充療法について論じています。

 

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「von Willebrand病の小児、青年、若年成人期おける長期的二次予防

著者名:Halimeh S, et al.
雑誌名:Thromb Haemost 105: 597-604, 2011.


<論文の要旨>

von Willebrand病(VWD)患者における第VIII因子/ von Willebrand因子(VWF)濃縮製剤による補充療法は、予防投与として行われることが増えてきました。


著者らは、2000年以降、病的な出血症状のみられたVWD82症例(1型42例、2型24例、3型13例、後天性3例)を対象に予防投与の意義を検討しました。

予防治療開始の決定は、診断前のbleeding scoreが2より大きいこと、出血時の補充療法を行っているにもかかわらずくり返し出血して貧血を伴っていること、としました。


VWD32症例に対して予防治療が開始されました(小児13例、青年7例、成人12例;1型4例、2型15例、3型13例;男/女17/15;9例は生殖可能年齢)。ヘマーテP製剤が8例、Wilate製剤が24例で使用されました。製剤使用量の中央値は、40IU/kgでした。

23例では2回/週、7例では3回/週、2例(小児)では4回/週投与されました。


その結果、Hb値は12ヶ月後に正常化しました。予防治療期間の中央値は3年間でした。くり返していた出血エピソードは31/32例で消失しましたが、1例ではインヒビターが出現しました。

12ヶ月間の観察期間中、出血頻度とbleeding scoreは有意に低下しました。


以上、出血時の補充療法でも出血をくり返すVWD患者に対しては、定期補充療法は有用と考えられました。

 
 
 【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:40| 出血性疾患