ノボセブン(活性型第VII因子製剤)皮下注への展望
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(商品名:ノボセブン)は、第VIII因子インヒビター症例の止血治療薬として保険適応となっています。
すぐれた臨床効果を発揮しますが、半減期が短く効果が持続しないのではないかとの指摘もあります。
今回紹介させていただく論文は、本薬の経静脈的投与ではなく、皮下注投与(効果持続時間が延長する期待があります)への道を開く報告です。
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「遺伝子組換え活性型第VII因子製剤の皮下注の安全性および薬理動態」
著者名:Tiede A, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 9: 1191-1199, 2011.
<論文の要旨>
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)は、インヒビター保有血友病患者における止血目的で使用されます。rFVIIaの皮下注は、血中半減期を延長させ、予防投与を安易にする期待があります。
著者らは、血友病患者に対してrFVIIaを投与した場合の安全性と薬理病態を検討しました。rFVIIa 90μg/kgの静注と、rFVIIa 45、90、180、270、360μg/kgの皮下注を比較検討しました。
血友病AまたはB 60例(各用量につき12例)が登録されました。
rFVIIaを皮下注した場合には、最高血中濃度の平均は低くなり、FVII活性の維持が延長しました(皮下注:Cmax 0.44-5.16IU/mL、半減期 12.4h、Tmax 5.6h; 静注Cmax 51.7IU/mL、半減期 2.7h、Tmax<10min)。
用量依存性は、2倍用量まではみられたが、全濃度にわたってはみられませんでした。
血栓症、重篤な副作用、注射部位の高度な反応、中和抗体の出現は、いずれもみられませんでした。
注射部位の軽度〜中等度の反応は、皮下注投与でより高頻度でした。
血友病患者に対するrFVIIaの1回皮下注投与(第I相臨床試験)は、rFVIIaに対する暴露を延長させましたが、安全性に関する懸念はないものと考えられました。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:23| 出血性疾患