2011年08月17日
プラザキサ vs ワーファリン(心房細動)2:モニタリング/INR
プラザキサ vs ワーファリン(心房細動)1:PT-INR&APTT より続く。
非弁膜症性心房細動患者(NVAF)に対する抗血栓療法(心房細動による心原性脳塞栓抑制目的)として、ワーファリンのみでなくプラザキサ(ダビガトラン:抗トロンビン薬(6))を処方することができるようになりました。
プラザキサには大きな期待がよせられています。ワルファリン(商品名:ワーファリン)と比較しての長所と短所は前の記事でも書かせていただきました( プラザキサ vs ワーファリン)。
今回は、モニタリングについて考察したいと思います。
ワーファリンの場合は、PT-INR(関連記事:PT-INR、APTT)によるモニタリングが必要です。
そのため、外来での診察時には毎回採血を行い、その結果をみた上で、ワーファリン内服量を増減するということが必要でした。
これは、患者さんにとって負担ではないかと考えられてきましたし、主治医サイドとしては煩雑であると思われてきた可能性があります。しかし、このモニタリングが必要であるというのは、本当にワーファリンの短所でしょうか?
ワーファリンは「モニタリングすることができる」と言い換えることもできるのではないでしょうか。
一方のプラザキサですが、ワーファリンとは異なり、モニタリングする必要がないということを、キャッチフレーズにしているようです。本当にそうでしょうか。
モニタリングすることができないという意見もあるかもしれません。
管理人はプラザキサの登場以来、ワルファリン(商品名:ワーファリン)からプラザキサへの切り替えの選択肢を提示させていただいた患者さんが多数おられます(プラザキサは優れたお薬ですので)。それぞれのお薬の長所と短所を冷静にかつニュートラルにお話させていただきました。
医療機関によっていろんな動向があるとは思いますが、管理人が主治医をさせていただいている患者さんでは、8割の患者さんは変更を躊躇されました。モニタリングのための毎回の採血を嫌っておられる患者さんはほとんどおられませんでした。むしろ、しっかりモニタリングしてもらっているとpositiveに考えておられる患者さんの方が多かったです。
変更を躊躇された場合として最も多かった理由は、2週間処方でした。
2週間ごとの病院受診は負担なので、1年経過してから、プラザキサに変更したいと言われる方が多かったです(ただし医療機関によって動向は異なると思います)。
(続く)
プラザキサ vs ワーファリン 3:ダビガトランとAPTTへ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:16| 抗凝固療法