金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年09月23日

CBT問題(コアカリ):PT延長

CBT問題(コアカリ)を続けたいと思います。


74歳の男性。

膵癌で入院治療中に発熱した。採血、注射部位の止血が困難。四肢に斑状の紫斑がみられる。体温38.6℃。

血液所見:赤血球290万、Hb 9.8g/dL、血小板32.7万、PT 25.3秒(基準対照11.3)、APTT 41.2秒(基準対照32.2)。

診断はどれか。


A.    肝硬変
B.    急性白血病
C.    血友病
D.    骨髄異形成症候群
E.    再生不良性貧血
F.    特発性血小板減少性紫斑病
G.    播種性血管内凝固症候群
H.    ビタミンK欠乏症

 

(解説)

入院中に出血症状をきたしています。

血液検査での貧血は、出血のためと考えられます。

PTが著しく延長していますが、APTTの延長は軽度です。ビタミンK欠乏症と考えられます。

上記疾患のうちPTが延長するのは、ビタミンK欠乏症以外では、肝硬変、播種性血管内凝固症候群(DIC)です。

ただし、肝硬変では血小板数が中等度低下します。また、DICでは、血小板数が著減します。


ビタミンK欠乏症になりやすい3条件は、以下の通りです。

1)食事摂取量の低下(ビタミンKの摂取も低下します)。

2)閉塞性黄疸(ビタミンKは脂溶性ビタミンであり、その吸収に胆汁を必要とします)。

3)抗生剤投与(ビタミンKは腸内細菌が産生していますが、抗生剤により腸内細菌が死滅します)。

 

(正答) H

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:29| 医師国家試験・専門医試験対策