金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年10月13日

DICの治療:トロンボモジュリン製剤(1)

現在使用可能なDICの治療としては、以下に示すような薬剤があります(<DICの治療>)。

今回シリーズのテーマであるトロンボモジュリンの遺伝子組換え型製剤(リコモジュリン)の臨床現場への登場は、DICによる死亡率の低下に寄与するものと期待されます。

本シリーズでは、内科領域、特に造血器関連疾患に合併したDICを含めて、遺伝子組換えトロンボモジュリン(recombinant thrombomodulin:rTM)製剤治療について紹介したいと思います。



<DICの治療>

1. 基礎疾患の治療


2. 抗凝固療法
a) ヘパリン類
・未分画ヘパリン
・低分子ヘパリン(フラグミンR など )
・ダナパロイドナトリウム(オルガランR

b) アンチトロンビン濃縮製剤
・アンスロビンPR、ノイアートR、献血ノンスロンR

c) 合成プロテアーゼインヒビター
・メシル酸ナファモスタット(フサンR  など)
・メシル酸ガベキサート(FOYR  など)

d) トロンボモジュリン(リコモジュリン R


3. 補充療法

a) 濃厚血小板:血小板の補充)

b) 新鮮凍結血漿:凝固因子の補充


4. 抗線溶療法(トラネキサム酸 <トランサミン>)
原則禁忌。ただし、線溶亢進型DIC確診例に対して、ヘパリン類との併用下に出血症状(参考:鼻出血)に著効することあり。
使用法を間違えると致命的な血栓症の合併症がありうるため、専門家へのコンサルトが必要。

参考:止血剤の種類と疾患


(続く)TMと血管内皮細胞:トロンボモジュリン製剤(2)

 

【リンク】

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:03| DIC