金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年10月28日

輸血後鉄過剰症:輸血の副作用とその対策(6)

TRALI/TACO:輸血の副作用とその対策(5)より続く。


<輸血後鉄過剰症治療アルゴリズム>

鉄キレート剤

 

輸血後鉄過剰症

赤血球輸血を繰り返しますと早晩鉄過剰症となります。

輸血後鉄過剰症は、鉄キレート剤デフェラキシロクス(商品名エクジェイド)の服用で、予後改善が期待できます。

藤井靖彦(研究代表者): 輸血副作用対応ガイド. 日本輸血・細胞治療学会輸血療法委員会, 2011

小澤敬也(研究代表者): 輸血後鉄過剰症の診療ガイド. 厚労省特発性造血障害に関する調査研究班, 2008

血液学的改善効果も報告されています。

Gattermann N, Finelli C, Porta MD, et al: Hematologic Responses In Myelodysplastic Syndromes (MDS) Patients Treated with Deferasirox: An EPIC Post-Hoc Analysis Using International Working Group (IWG) 2006 Criteria. ASH Annual Meeting Abstracts 116:2912-, 2010

 

厚労省研究班ガイドラインは、1年以上の余命が期待できる患者を鉄キレート剤治療の対象と定めています(上図)。

骨髄異形成症候群の場合、International Prognostic Scoring System(IPSS)上、高リスクグループの平均生存期間は0.4年です。

ですから、これよりリスクの低い3グループ(中間リスク2 [平均生存期間1.2年]、中間リスク1 [平均生存期間3.5年] 、低リスク [平均生存期間5.7年])が治療対象となります。

輸血後鉄過剰症のサロゲートマーカーである血清フェリチン値が500-1,000 ng/mLになるようにデフェラシロクスを調整します。

 

まとめ

1)最も重要な輸血副作用は、ABO不適合輸血アナフィラキシーショックです。

2)輸血後肺水腫症状がみられれば、輸血関連急性肺障害輸血関連循環過負荷を第一に考えます。

3)輸血後鉄過剰症は、デフェラシロクス内服により予後改善が期待できます。

 

(続く)輸血の副作用とその対策 <インデックス>

 

 【リンク】

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:50| 輸血学