金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年12月17日

ビタミンK欠乏症など:金沢大学血液内科試験問題


TTP & HUS:金沢大学血液内科試験問題
より続く

平成23年度 金沢大学血液内科学系統講義試験:細胞移植学(血液内科)<問題の紹介と正答>


問16.    血栓止血関連疾患の治療に関する記載として正しいのはどれか。1つ選べ。


a.    老人性紫斑病に対しては、ビタミンC内服が有効である。
b.    心原性脳塞栓の再発予防としては、アスピリン内服が有効である。
c.    アレルギー性紫斑病に対しては、新鮮凍結血漿の投与が有効である。
d.    閉塞性黄疸を合併したビタミンK欠乏症に対しては、ビタミンKの点滴静注が有効である。
e.    第VIII因子インヒビターの出血に対しては、遺伝子組換え第VIII因子製剤が有効である。


(解説)
a. 老人性紫斑病では、経過観察のみで大丈夫です。
b. 心原性脳塞栓の再発予防としては、アスピリンではなくワルファリン内服が有効です。本年(本記事執筆時点)からは、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)も使用できるようになりました。
c. アレルギー性紫斑病では経過観察で良い症例が多いです。一部の症例では、第XIII因子製剤が使用されることがあります。
d. ビタミンKは脂溶性ビタミンですので、その吸収に胆汁を必要とします。閉塞性黄疸では、ビタミンKの吸収が不十分のため、経口投与ではなく点滴静注でビタミンKを補充します。
e. 第VIII因子インヒビターの出血に対して、遺伝子組換え第VIII因子製剤は無効のため、バイパス製剤を使用します。バイパス製剤には、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(ノボセブン)や活性型プロトロンビン複合体製剤(ファイバ)があります。


(正答)
d

【リンク】
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
 
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:01| 医師国家試験・専門医試験対策