金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年12月18日

鼻出血&貧血:金沢大学血液内科試験問題


ビタミンK欠乏症など:金沢大学血液内科試験問題 より続く

平成23年度 金沢大学血液内科学系統講義試験:細胞移植学(血液内科)<問題の紹介と正答>


問17.   

患者:20歳女性。
頻回かつ止血困難の鼻出血の精査目的に来院した。血液検査は下記の通りであった。

Hb 7.6 g/dL,血小板数 33.8万/μL,出血時間15分,PT 10.3秒,APTT 72.5秒,フィブリノゲン 243 mg/dL,FDP 3.5 μg/mL.

妹も、幼少時より鼻出血がみられやすい。

この疾患の止血治療として正しいものはどれか。1つ選べ。


a.    濃厚血小板
b.    新鮮凍結血漿 
c.    副腎皮質ステロイド
d.    デスモプレシン(DDAVP)
e.    遺伝子組換え第VIII因子製剤


(解説)
鼻出血(粘膜出血)がみられる女性です。妹も幼少時から鼻出血がみられるため、先天性の出血性素因が考えられます。女性ですから、血友病ではありません。

検査所見では、出血時間の延長と、APTTの延長がみられています(PTは正常になっています)。
von Willebrand病と考えられます。

a. 濃厚血小板は、血小板数が著減した場合などに使用することがあります。
b. 新鮮凍結血漿(FFP)は、凝固因子を早急に補充したい場合に使用することがあります。
c. 副腎皮質ステロイドは鼻出血に無効です。
d. 抗利尿ホルモンであるデスモプレシン(DDAVP)は、血管内皮から、von Willebrand因子を放出させる作用があります(参考:止血剤の種類と疾患)。
e. 遺伝子組換え第VIII因子製剤は、血友病Aの止血治療に使用されます。


(正答)d


【リンク】
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
 
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:26| 医師国家試験・専門医試験対策