金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年12月20日

関節内出血:金沢大学血液内科試験問題


血管内皮の抗血栓作用:金沢大学血液内科試験問題
より続く

平成23年度 金沢大学血液内科学系統講義試験:細胞移植学(血液内科)<問題の紹介と正答>


問19.   

患者:12歳男性。

幼少時より関節内出血が頻回にみられている。弟も同様であった。

血液検査は下記の通りであった。
血小板数 23.3万/μL,PT 10.6秒,APTT 69.1秒,フィブリノゲン 217 mg/dL,FDP 2.1 μg/mL。
血液凝固第IX、XI、XII因子は正常であった。

この患者の血液検査異常がみられるのはどれか。1つ選べ。


a.    出血時間
b.    血小板凝集能
c.    血液凝固第VII因子
d.    血液凝固第VIII因子
e.    von Willebrand因子


(解説)

幼少時からの関節内出血をきたしている男性です。弟も同様であるため、先天性の出血性素因が考えられます。

特に、国家試験や卒業試験などで、関節内出血とくれば、まず血友病と考えて良いでしょう。

予想通り、APTTは延長しています。PT出血時間が正常であるところにも注目します。

APTTが延長していて、血液凝固第IX、XI、XII因子が正常ですから、血液凝固第VIII因子活性が低下していると考えられます。

a. 血友病では、出血時間は正常です。
b. 
血友病では、血小板凝集能は正常です。
c. 
血液凝固第VII因子が低下している場合には、PTが延長しているはずです。
d. 正しいです。
e. von Willebrand因子が低下すると、出血時間が延長します。


(正答)d

参考:医師国家試験 問題対策:血液内科(血栓止血領域)



【リンク】
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
 
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:28| 医師国家試験・専門医試験対策