2012年01月13日
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とステロイド治療
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対するステロイド治療のありかたについての論文を紹介させていただきます。
この論文は、必ず実際に論文を全てお読みいただくことをお願いしたいと思います。管理人は、大変に勉強させていただきました。
(参考)血友病、後天性血友病、PT-INR、APTT、第VIII因子インヒビター
「成人ITP治療のrisk-benefitについて(コルチコステロイド)」
著者名:高木省治郎、他。
雑誌名:臨床血液 52: 1751-1758, 2011.
<論文の要旨>
日本の成人成人特発性血小板減少性紫斑病(ITP)のガイドラインでは、コルチコステロイドの維持量はプレドニゾロン換算で5〜10mg/日にすべきとされています。
しかしながら、推奨維持量でも副作用が発現する可能性があり、慎重なベネフィットとリスクの評価が必要です。
特に高齢者のITP患者が増加している現在では、コルチコステロイド投与による骨折の合併は患者のQOLを著しく低下させ、患者にとって大きなリスクとなります。
たとえ少量のコルチコステロイドで血小板数が安定していても、漫然と長期投与は行うべきではありません。
コルチコステロイド投与後に無治療で血小板数を維持できない、あるいは血小板数を3×104/μl以上に維持するために少なくとも2ヵ月間のコルチコステロイドの継続投与が必要な場合には、コルチコステロイド投与の中止、減量を検討すべきです。
しかしながら、コルチコステロイドを継続投与せざるをえない場合には、コルチコステロイド投与のリスク軽減を図るべきです。
例えば、コルチコステロイドによる骨粗鬆症の予防として、
1.禁酒
2.禁煙
3.適正な体重の維持
4.適度な運動(少なくとも週3回、30分以上)
5.転倒防止
6適.度なカルシウム(少なくとも1500mg/日)とビタミンDの摂取
7.ビスホスホネート製剤の投与
を行います。
ビスホスホネート製剤であるalendronateとrisedronateは、コルチコステロイドによる骨粗鬆症の予防の第一選択薬としてコルチコステロイド投与開始時から併用すべきとされています。
コルチコステロイドで治療されているITP患者への、6〜12ヵ月間のビスホスホネート製剤の投与で、有意な骨量の増加が期待できます。
このようなリスク軽減策をとりながら、コルチコステロイド投与のベネフィットとリスクを常に念頭において治療することが大切です。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:11| 出血性疾患