医師国家試験:血小板数増加
先日、106回医師国家試験が行われました。
今回から、血栓止血領域の問題の一部を、何回かに分けて紹介させていただきます。
【設問】
70歳の男性。定期健康診断で検査値の異常を指摘されたため来院した。
1年前に脳梗塞の既往がある。
心音と呼吸音とに異常を認めない。肝・脾を触知しない。
血液所見:
赤血球468万,Hb 13.9g/dl,Ht 42%,白血球12,300(桿状核好中球30%,分葉核好中球45%,好酸球1%,好塩基球1%,単球6%,リンパ球17%),血小板250万.骨髄検査では線維化を認めず。染色体は正常核型である。
末梢血塗抹May-Giemsa染色標本(略):血小板の多い血液像。
骨髄生検のH-E染色標本(略):成熟した巨核球の増加した骨髄像。
診断として最も考えられるのはどれか。
a 骨髄線維症
b 慢性骨髄性白血病
c 骨髄異形成症候群
d 真性赤血球増加性
e 本態性血小板血症
【解説】
何と言っても、血小板数の著増が特徴的である。
血小板数の著増&白血球数の軽度上昇から骨髄増殖性疾患を疑います(反応性血小板増加症では血小板数が100万/μL以上になることは稀です)。
Hbの上昇はなく真性赤血球増加症は否定されます。
染色体異常(転座t(9:22))もなく、CMLも否定されます。
骨髄検査では線維化を認めず、慢性特発性骨髄線維症でもありません。
末梢血液像では血小板数の増加が、骨髄病理では成熟した巨核球の増加が確認されています。
本態性血小板血症(ET)と考えられます。
本態性血小板血症では血小板数が著増して血栓症をきたしやすいですが、一方で血小板の機能が低下しているために、出血もきたしやすいのが特徴です。
抗血栓療法(低用量アスピリン)で加療することが多いです。必要に応じて、化学療法(ヒドロキシウレアなど)を行います。
約半数例で、JAK2遺伝子変異を伴います(参考:JAK2遺伝子変異と血栓症)。
【正答】e
(続く)医師国家試験:血小板数低下へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:06| 医師国家試験・専門医試験対策