金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年03月14日

後天性血友病のインヒビターと第VIII因子加水分解

第VIII因子インヒビター後天性血友病)の病態が最近少しずつ明らかになってきました。

今回紹の論文では、近年の病態解明が紹介されています。

 

 「後天性血友病Aにおける自己免疫反応は蛋白分解性抗体で全て説明可能か 」

著者名:Mahendra, A. et al.
雑誌名:Br J Haematol 156: 3-12, 2012.


<論文の要旨>

後天性血友病A(AHA)は、出血異常の既往のない者において突然第VIII因子に対する抗体(第VIII因子インヒビター)が出現することで知られるまれな出血性素因です。


発症頻度が極めて低いこと、未治療患者からは生物学的検体を採取することが困難なことは、AHAの病態究明の障害となっています。

ただし、近年になりAHAの病態究明が進んでいます。


特に、CD4陽性T細胞がAHA発症に重要な役割を果たしており、T細胞が標的とする第VIII因子のエピトープが明らかにされました。

CD4陽性T細胞反応を調節していることで知られているcytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4 gene (CTLA4)の遺伝子多型と、ある種のHLA classIIハプロタイプの優先的使用が疾患と関連しています。


最近の研究によると、AHA症例においては、第VIII因子および第IX因子に対する蛋白分解活性を有したIgGの存在が明らかになりました。

AHA患者から取り出した第VIII因子を加水分解するIgGは、in vitoroにおいて第VIII因子を不活化するのに対して、第IX因子を加水分解するIgGは第IX因子を活性化します。


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:37| 出血性疾患