2012年03月17日
血友病A&B症例と骨塩量の低下
血友病患者さんでは、関節症などに伴い運動障害を伴う場合もあるため、骨粗鬆症など骨の観点からの論文が報告されることがります。
「血友病A&B症例における骨塩量の低下(北部ギリシャ症例) 」
著者名:Anagnostis, P. et al.
雑誌名:Thromb Haemost 107: 545-551, 2012.
<論文の要旨>
血友病A&B患者では、骨量が少ないことが多いです(症例の67-86%)。
著者らは、血友病患者における骨疾患の頻度を評価し、その危険因子について検討しました。
北部ギリシャ血友病センターに通院中の大人血友病A&Bを対象としました。
骨塩量(bone mineral density : BMD)は、X線を用いたDXA法で測定しました。
血友病104例(45.8±15.1歳)と健常人50例(44.9±12.8歳)を対象としました。
BMDが低値と診断されたのは血友病28例(26.9%)、健常人10例(20%)でした(P=0.0001)。
BMD低値と診断された血友病症例は、骨盤、大腿骨頚部、下転子においてであり、腰椎では健常人と差がみられませんでした。
BMDと正相関したのは、血友病重症度、HCV&HIVの感染、運動能力であり、負相関したのは関節症の重症度でした。
多変量解析の結果からは、運動能力および25-ハイドロキシビタミンD[25(DH)D]のみが、有意にBMDを予知することができました。
血友病の半数例においてビタミンD欠乏症と診断された。
以上、血友病ではBMDの低値の患者が多く、運動能力と25(DH)DはMBD低値を予知する独立した要素と考えられました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:25| 出血性疾患