金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年03月18日

rFVIIa&PCCとワルファリン誘発脳内出血

ワルファリン(参考:INR)による脳内出血は本来あってはいけないのですが、ワルファリンの処方件数はとても多いですから、どうしてもありえます。

管理人自身、間接的に数例経験してきました。

その際の対策として、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(ノボセブン)や活性型プロトロンビン複合体製剤(APPC;ファイバ)が期待されています。

 

「rFVIIaとPCCはワルファリンによる実験的脳内出血の血腫量を同等に減少させる 」

著者名:Schlunk, F. et al.
雑誌名:Stroke 43: 246-249, 2012.


<論文の要旨>

著者らはワルファリン(参考:INR)による実験的脳内出血モデルを用いて、プロトロンビン複合体製剤(PPC)と遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)(ノボセブン)の効果を比較しました。


マウスにワルファリン(2mg/kg)を経口投与しました。

脳内出血は、コラゲナーゼを右線状体に注入することで誘発しました。

45分後に、PCC(100IE/kg)、rFVIIa(1mg/kg)、生食のいずれかを経静脈的に投与しました。

24時間後の血腫量をphotometric Hb法で測定しました。


INRは、生食群4.3±0.4、rFVIIa群0.9±0.1、PCC群1.4±0.2でした。

脳内出血量は、生食群20.0±19.7μL、rFVIIa群8.6±4.3μL、PCC群6.1±1.8μLでした。

rFVIIa群およびPCC群は生食群と比較して有意に有効でしたが、rFVIIa群とPCC群との間には有意差はみられませんでした。


以上、PCCおよびrFVIIaは、ワルファリンによる急性の脳内出血に対して、凝固異常の改善および血腫の抑制の観点より、同程度に有効と考えられました。


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:28| 出血性疾患