金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年05月08日

厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(4)

厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(3)より続く。

DIC診断基準の改訂へ(4)

4)    プロトロンビン時間(PT)を最高1点までに

プロトロンビン時間(PT)は、確かにDICのために延長することがあります。
現在の診断基準では、PTの延長の程度に応じて、最高2点まで与えられます。

しかし、PTはDIC以外の多くの要素によって延長します。


代表的な例として、肝不全(肝予備能低下)やビタミンK欠乏症でも容易に延長しますので、決してDICに特異的なマーカーではありません。

むしろPTに対する依存度が高いことは、DICの誤診につながる懸念すらあります。

管理人の経験では、DICではないかとコンサルトいただく症例で、どうみてもDICとは思えない症例の多くが、肝予備能低下をきたした症例です。このような症例では、PTが明らかに延長しているのみならず、しばしば、DIC以外の原因で血小板数も低下しています。


現在は、PTに対しては最高で2点まで与えられますが、最高1点までにして、PTに対する依存度をさげるべきと考えられます。その方が、DICの誤診を少なくすることにもつながると思います。

現在は、PT比>1.25で1点、PT比>1.67で2点を与えられますが、PT比>1.67で初めて1点にしては如何でしょうか。

(続く)厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(5)

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:31| DIC