金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年05月10日

厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(6)

厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(5)より続く。

DIC診断基準の改訂へ(6)

6)    誤診対策(FDP)

現在の厚生労働省診断基準を用いて誠実にスコアリングしてDICと診断される症例であっても、客観的に判断して、どうしてもDICと思えない症例が少なからず存在します。

具体的には、FDPが1ケタの症例です。
FDP 10μg/mL未満でDICとはまず考えられないと思います。

それらの症例では血小板数著減、PT著明延長の所見はあり、しばしば臨床症状もみられますが(DICに起因する訳ではありませんが)、FDPは10μg/mL未満(1ケタ)です。

このような症例は、しばしば肝不全(肝予備能低下)症例です。


誤診対策として、FDP<10μg/mLで、-1点とするのは如何でしょうか。
(さらに極論すれば、FDP<10μg/mLでは絶対にDICとは診断されないように、-2点、-3点とするのも一法かもしれませんね)

現在のDIC診断基準の問題点はいくつかありますが、FDP<10μg/mLであってもDICと診断されてしまうことがあるのは大きな問題ではないかと思っています。

(さらに極論ですが、FDP<10μg/mLであるにもかかわらず医学的にDICと診断される症例はまずない訳ですから、FDP<10μg/mLであればそれだけで、DICを否定するという診断基準でも良いかも知れませんね)

(続く)厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(7)

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:11| DIC