金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年06月28日

治療抵抗性ITPとダプソン治療:リツキシマブ不応性でも。

今回紹介させていただく論文は、試みたいという気持ちにさせてくれる報告です。

 

ステロイド、摘脾術、除菌療法、リツキシマブ、トロンボポエチン受容体作動薬など、あらゆる治療が無効であった症例でどうすれば良いのか。。。。

血液疾患の診療に携わっている方であれば、経験されているのではないでしょうか。

 

「再発あるいはステロイドやリツキシマブに不応性のITPに対するダプソン治療」

著者名:Zaja F, et al.
雑誌名:Am J Hematol 87: 321-323, 2012.


<論文の要旨>

Dapsone(ダプソン)は、抗炎症作用を合わせ持つ抗菌薬であり、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対する有効性が期待されています。

著者らは、少なくともステロイドやリツキシマブに対する治療歴を有するITP20例(年齢中央値51歳)に対してダプソンの効果を検討しました。


血小板数の中央値は1.9万/μLであり、ITPの診断からダプソン治療までの期間は46ヶ月でした。

反応率(血小板数3万/μL以上)は55%、完全寛解率(CR:血小板数10万/μL以上)は20%でした。

反応までの期間の中央値は1ヶ月でした。

反応した症例では、他のITP治療の中止が可能でした。

反応した症例でのダプソン治療期間の中央値は31ヶ月間、反応していた期間は42ヶ月間でした。

反応症例では治療期間中は効果が持続していました。

CRとなった1例で9ヶ月後にダプソンを中止しましたが、48ヶ月間効果が持続しました。毒性のために治療を中断した症例はありませんでした。


以上、リツキシマブ治療に失敗したITP症例であってもダプソンが有用な場合があるものと考えられました。


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:00| 出血性疾患