腎生検後出血と遺伝子組換え活性型第VII因子(ノボセブン)
遺伝子組換え活性型第VII因子(商品名:ノボセブン)(参考:血友病、後天性血友病)は、究極の止血剤とも言える素晴らしいお薬です。
保険適応は、第VIII因子インヒビター(参考:後天性血友病)、先天性第VII因子欠損症のみなのですが、人間が遭遇するほとんど全ての出血に対して有効なため、全世界的に適応外使用されているというのが現状です。
今回紹介させていただく論文は、腎移植後に移植腎機能不全をきたした症例での腎生検後の遷延する出血に対して、遺伝子組換え活性型第VII因子が使用されました。
「腎生検後出血に対する遺伝子組換え活性型第VII因子による治療」
著者名:Maksimovic B, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 23: 241-243, 2012.
<論文の要旨>
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)(商品名:ノボセブン)の保険適応は、インヒビター保有血友病A&B、後天性血友病、先天性第VII因子欠損症、血小板無力症(欧州でのみ)です。
しかし、適応外使用が多く、重症肝疾患、新生児凝固異常、リスクの高い手術、外傷、血小板数低下、血小板機能低下などに伴う出血に対しても投与されています。
また、抗凝固療法の中和目的にも使用されます。
著者らは、腎移植後に移植腎機能不全をきたした53才女性の症例報告を行っています。
患者は腎生検が行われましたが、術後に異常出血が遷延しました。
DDAVP(デスモプレシン)を投与したが効果がなかったために、rFVIIa投与を行ったところ速やかに止血しました。
今までに尿毒症患者の止血治療目的としてrFVIIaを使用したという報告はほとんどありません。
腎移植後の早い時期において尿毒症をきたした症例で、腎生検後の異常出血に対してrFVIIaを用いたというのは本論文が初めての報告です。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:31| 出血性疾患